文化財の修理を見学してきました!
ようこそ! めがね修復・復刻保存館 Feel Seeds のホームページへ訪問いただきありがとうございます
今回は、修理は修理でも なんと文化財の修理現場へ見学に行ってきた様子をご紹介します
場所は奈良県天理市杣之内町にある、複合文化施設「なら歴史芸術文化村」という所になります
こちらは令和4年に開村し今年で3年目の真新しい施設であり、日本で初めて文化財4分野「歴史的建造物」「考古遺物」「絵画・書籍等」「仏像彫刻等」の修復工房を通年で公開している施設です
ガラス越しに作業現場を見ることが出来たり、学芸員さんの解説付きで修復工房見学ツアーも行われていたりと、歴史好きでなくとも興味が湧くこと間違いナシ (なら芸術文化村資料より抜粋、以下文章も同様)
福井県の恐竜博物館で化石発掘体験が人気なのと同様、遺跡発掘作業は大人も子供も無心・夢中になる、そんな魅力があります
私も「形あるものの修理方法」に強く興味をそそられ、めがねの修理となぞらえながら、じっくりと見学させてもらいました
それでは6つの見学ポイントで順に かいつまんでご紹介します
文化財修復・展示棟入口
入口横巨大モニターで紹介
ガラス奥は いかにも研究施設
見学ポイント1 文化財の種類と保存・活用
有形・無形以外にも、こんなに
普段からよく耳にする有形・無形文化財、実はその他にも、民族・記念物・文化的景観・伝統的建造物群など、知らないものも沢山あり驚きです
今回の見学は有形文化財にあたり、こちらで扱う上記文化財4分野は美術工芸品に位置づけられていました
歴史や文化を知る上で重要な役目を果たす文化財、これを未来へ残す為の保存は、活用を通してその価値が知られる事により、保存の必要性が認識される、といった相互関係の上成り立っているそうです
めがねは基本分業制、相互関係の上製品として成り立つ、分野違えど似たような事と、身近な所で頷けるものがあります
見学ポイント2 修理と修復の違い
改めて見て、なるほど!
当店の名前にも含まれる「修復」そして一般的によく使われる「修理」、文化財の世界ではある種の定義があって使い分けているようです
「修復」の修は「整える」複は「元に戻る」の意味があり、損傷個所を直し元の形へ戻す事を指すようです
「修理」の理は「整えて正す」の意味があり、損傷個所に手を加え、損なわれた機能を回復させる事を指すようです
2つの言葉を使い分け、残す為に作業される文化財、当店もオープン当初はご使用される為の修理を受けていなかった為「修復」と名付けた事を思い出しました
修理ご要望の声があまりにも多く、現在では一般の修理品を受け付けております、どうぞご安心ください
見学ポイント3 4つの異なる修理工房
一貫生産の真逆、一貫修復
なら芸術文化村には4つの修理工房があります
「歴史的建造物修復工房」「考古遺物修復工房」「絵画・書籍等修復工房」「仏像等彫刻修復工房」です
奈良時代に首都があった奈良、歴史的建造物を始め、歴史を語る上でとても重要な文化遺産が多く残るこの地で、「残すために直す」この歴史芸術文化村が出来たのは必然だったと思います
鯖江のめがねミュージアムも同様、そこにある必要性を感じざるを得ません
その為 展示内容も濃く興味深く、その地で栄えた文化は、現地へ行って実際見聞きする事で より強く肌で感じれる、と改めて理解できます
見学ポイント4 修復に使う豊富な道具類
いかにも使い古された道具たち
壊れた形あるものを本来の姿へ戻す、その為には様々な道具や材料が必要です
文化財では出来るだけその時代の材料・道具を使い、その時の状態に修復していくそう
そうしないと「保存」にはならないのだとか
また、遺物の破片接合に使われるのは、接着力の弱い市販のセルロース系接着剤
「セメダインC」だそうです
めがねの修理では、仕上がりは出来るだけ綺麗に、溶接や溶着は出来るだけ強固に、が求められ日々努めていますが、目的違えば随分と違うものだ、と
また、めがねを含め多くの製造現場では常に生産性を求められ、最新機械に頼らねばならぬ現状もあり、「求められるもの・対象物の差」を強く感じた一面です
見学ポイント5 貴重な現場の声
これは見る側にとって面白い!
上記4つの修理工房には、それぞれの現場で作業にあたる「技術者さんの声」が質問形式で掲示されています
過去に携わった修理で一番驚いた発見や強く印象に残った出来事は?・作業の中で難しい場面は?・特に見て欲しい、注目して欲しいポイントは?など
逆目線で質問し、プロに「現場の声」として答えてもらう手法は、とても興味深いものでした
自社の特徴を知ってもらうには、見学してもらった人の質問の返答に ある種の答えが見出せる?と「見学者への見せ方」の上手さも学べた一面です
見学ポイント6 充実のワークショップ
大人でもやってみたい魅力!
この「なら歴史芸術文化村」では、随時ワークショップを行っているようです
私が訪れた7月は、5つのワークショップが行われており、これらは7・8月限定のものだそう
クリアソープで古墳時代の鏡を作る、樹脂粘土で古墳時代のネックレスを作る、蝋石で勾玉を作る、オーブン粘土でオリジナル勾玉を作る、鋳造で古代の鏡を作る、といったものが、100~500円程度で体験できる、とっても魅力的なものばかり
小さい子供がいればぜひ体験させてみたい、と思えるものばかりでした
手を動かしながら想像力を働かせる、興味を持つ、素敵な取り組みです
これが2ヶ月限定なんて、次はどんなワークショップなのか、気になります
まとめ 価値ある文化村を訪れて
公式ホームページより
この歴史芸術文化村は、宿泊施設・道の駅・芸術文化体験棟・レストランなどが集まり、歴史、芸術、食と農など、奈良県の誇る文化に触れることができる施設です
宿泊施設を利用すれば、丸1日楽しむことが出来、地元の人はもとより他県の観光客も十分に満足できるところでした
私がお目当てで訪れた文化財修復展示棟も含め、入場料が無料のほか、敷地内駐車料金も無料とあり、利用者にはとってもおススメの施設です
館内も新しくて気持ち良く、滞在時間はあっとゆうまに過ぎていくほどの快適さ
大人も子供も勉強になり楽しめる施設、この様な所は他にあまり類を見ないのではないでしょうか
ここは、ぜひ行ってみるべきです☆彡
私も最近まで知らなかった 本当に素晴らしい施設、奈良県さん もっと宣伝
すべきですよ!
まだまだある 沢山の魅力を画像でご紹介!
分かりやすいパンフ
見事なそれぞれの工房
復元が分かる埴輪
奥には輝く瞳が!
全てにおいて細かい
歴史的建造物の多さ!
掛け軸も無数の工程
まるでパズル
仏像も本来組み立て式
手触りの違いに触れる事が
本当に飽きさせない
中から年号が出てきた!
最後に
素晴らしい施設の見学を終え、ショップを運営する側、として思う事
こういった価値ある無料の資料館を訪れて思う、寸志でもいいので入場料等、維持管理費として設けても良いのでは?ということ
それなりの施設ではそれ相応の維持管理費が掛かります
すばらしい歴史的価値ある資料館の維持・保存・携わる方々の為にも考慮されてもよいのでは?と思います
そして、ここで学んだ「活用」する事で資料館の必要性が増し、注目され 来館者も増えていくのではないでしょうか
無料や安いのは利用者に とてもありがたい事の反面、営業を継続する為の費用は運営側が考えねばなりません
今回は微力ですが複合施設内ショップで売上げに協力させて頂きました
最後になりますが、
本当に素晴らしい施設です、皆さんどうぞ見学・体験に行ってみてください、オススメします!
以上、文化財の修理見学特集でした
※その他異業種の見学・体験特集はこちら
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