見事に白化しています
いつも めがね修復・復刻保存館 フィールシーズをご利用いただきありがとうございます。
今回は、プラスチックフレームによくある劣化の一つ、白化現象と素材のヒビ割れ度合い、またそれを修復再生したときの復元目安について解説します。
プラスチックフレームを長年かけていると、どうしても劣化が目立ってきます。
劣化には大きく分けて白化・ヒビ割れ・反りの3つが主ですが、一番目立つのが白化現象です。(ここではアセテート・セルロイドに限定します)
白化は字のごとく汗・整髪料・皮脂汚れなどが付着し、表面が白い被膜で覆われたようになるのですが、早めに対処する事で主な劣化3現象の中で一番見た目が綺麗に出来る為、出来るだけ早めの処置が得策です。
かなりツヤが復元
上の画像と見比べてもらうと違いがよくわかると思います。
上の画像程度のは白化であれば、左画像くらいツヤが甦る可能性が高いです。
ただし、同程度の白化だからといって必ずしも同じような劣化具合とは限りませんのでご注意を。
もう一つの劣化見極め具合の一つ、ヒビ割れがひどいとこの様な光沢は出ません。
劣化の進み具合はご使用の環境にも大きく左右される為、白化だけで程度を決めず、ヒビ割れやリムなどの反りも合わせて見ていただくと、処置後の仕上がり具合も購入時の何割程度まで復元、などとイメージしやすくなります。
薄皮を削いだ作業後
左画像は以前にも事例でホワイトニングの加工としてご紹介している作業道具とその加工風景です。
中央右にあるオレンジ色の持ち手の工具は”キサゲ"という名称で、プラスチック樹脂の表面などを削ぐ為の道具です。
大工道具で使うカンナと同じ役目をし、対象物の表面を薄皮一枚削る役目をします。
道具横にあるテンプルは、表面の汚れた樹脂の表面を一枚削いだ加工後のもので、加工で削られた樹脂がその下に見えますね。
テンプル白化の対処法として、この作業をする・しないでその差は歴然の為、必須条件です。
この作業を終えたテンプルは、全体がつや消し状になります。
以前の事例はこちら https://www.feelseeds.jp/case/archives/57
小さいヒビが見えます
キサゲで薄皮を全体的に削いだテンプルは、いよいよバフ掛けという作業に移ります。
バフ掛けとは、円盤状の布をモーター付きの機械に装着し、布を回転させながら対象物に押し当て、ツヤを出すための作業を言います。
この作業は大きく分けて2工程あり、荒磨き・仕上げ磨きと呼びます。
左の画像は仕上げ磨き工程を終えたものですが、ツヤの反射を抑えた角度から撮影したもので、拡大して見ていただくと小さなヒビ割れが確認出来ます。
今回のフレームは白化に対し、この程度のヒビ割れだった為2段目の画像まで光沢が甦りました。
結果、多少の白化でもヒビ割れが小さくて少なければ、かなりツヤは再生できるということが言えます。
しかしながら白化が進むと、ヒビが目立ちにくくなるのでこまめにチェックをして頂くのが一番です。
次回はもっと状態がひどいものを目安としてご紹介しますね。
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