熱可塑性樹脂は縮みます! 縮みが原因の悲劇と対処法 解説します
ようこそ! めがね修復・復刻保存館 Feel Seeds のホームページへ訪問いただきありがとうございます
今回は、めがねに使われる素材のアセテート・セルロイドは熱可塑性樹脂故に起こる悲劇、それを理解して上手に過ごすめがねライフ、それらをご紹介する特集になります
めがねに携わる数多くの企業が運営するウェブサイト、それらではほぼ語られる事の無い「熱可塑性樹脂が縮む性質」である事を、業界唯一真正面から向き合い、実例画像と上手な付合い方をご紹介していく特集になります
この特集をしっかり見て頂くと、めがねを より長期間 快適に ご愛用頂ける情報が詰まっており、それらを実行する事であなたの大切なめがねの平均寿命をグッと伸ばすことが出来ます
それでは最後までじっくりご覧ください
CAD製図のセル輪断面図
中央部右側(ヤゲン部)が一番厚みが薄い
冒頭でご案内していますが、現在プラスチック製めがねフレームの主流素材であるアセテート・セルロイドは 熱可塑性樹脂の為、温度の変化によって軟化や変形を起こし、冷えると固まる際わずかに収縮します
また、素材の水分含有量が減少する事でも縮み、それらが進行すると少しづつ変形していきます
今回はそんな縮みから起きた「ありえない悲劇?」を画像でご紹介しながら対処法も最後にご案内します
熱可塑性樹脂で出来ためがねの場合、日常生活で3年も使用すると、どこかがほんの少し縮んでいてもおかしくありません
特に縮みが分かりやすい部分として、テンプルの合口・リムの下側・が挙げられます
縮んだ鼻下部リム
テンプルの合口は テンプル全体の素材生地が縮むことで、合口断面から芯が少しづつ飛び出してくるので、一般の人でも比較的判断しやすい状況です
※芯が飛び出した画像を掲載した特集はこちら
次に挙げたリムの下側は、若干の縮みでは判別しにくく、そのまま縮みが進行するケースが多いです
また、縮みに気付いたとしても特効薬が無い為、対処できるショップもほぼありません
左画像は、縮んでリムの裏面(顔側)がめくれ上がった状態まで進行した実際のフレーム画像です
ここまで縮む例は極端ですが、ご使用環境によってはこれに近い状態になる可能性だってあるのです
また、リムが縮む時は必ず下リムは上に向かってめくれ、上リムは下に向かってめくれます
これはめがねにはカーブが付いており、そのせいで必ずカーブの内側に、更に抜けた中央側(レンズ部)に向かって縮む為 めくれたようになります
上部から見るとパックリ
そして、縮みがさらに進行すると、左画像の様にヤゲンと呼ぶレンズを収める溝部でパックリ円周に沿って割れます
これは、縮むリムに対しほぼ縮まないレンズがある事でリム側に負荷が掛かり、最終的に一番弱い(薄い)部分から切れる状態です(上記CAD画像を参照下さい)
(※レンズが入っていなければこの様な壊れ方はせず、もっと縮んだ末 更にリムの円周が小さくなります)
このような状態になると手の施しようがなく、フレームの寿命となります
縮む性質である事は分かっても、ではどうすればいいのか?についてポイントを解説していきます
これらが起きる要因を1つづつクリアする事で、この様になりにくい状態を長く保つことが出来ます
熱可塑性樹脂で作られためがねフレームを出来るだけ縮ませない方法とは!
樹脂の性質を理解する事で寿命をかなり伸ばすことが出来る、実際どうすればよいかを解説していきます
①気温・湿度変化の少ない環境で使用する
寒暖差が比較的穏やかな季節にメインで使用する
室内専用のめがねにする
②使用しない時は冷暗所で保管する
出来るだけ温度変化が少ない状態を常に保つ
ケースに入れる場合、めがねのサイズに合うものにする
③急激な温度変化の場での使用は避ける
お風呂やサウナなどには持って入らない
温かい室内から寒い屋外へ、またその逆の環境での使用は避ける
④サイズの合っためがねを掛ける
サイズの合うめがねを着用し、掛け外しは両手で行い めがねに負担を掛けない
フィッティング・加工技術の優れたショップで購入・調整してもらう
⑤予備のフレームを持つ
上記ほぼ全てを網羅する最良策です
使用するシチュエーションによって複数本を使い分けるのがベスト!
最上級の方法として、予備(メインでも可)は鯖江産のチタンフレームを購入・使用する!
これまで述べたものはどれも重要ですが、特に最良策である「予備を持つ」と「温度差に注意して使用する」を併用するとめがねの寿命は驚くほど伸び、メタルフレームとの使い分けは効果バツグンです
平均3年とも言われるセルフレームの交換時期、10年以上ご使用されていても驚くほど状態の良いものは、やはり上手にお手入れされているものが多くありました
お気に入りのめがねを出来るだけ長く愛用したい!そんな時は日頃からの使い方を少し見直してみてください
気付くのが遅かった!といった場合には一度当店へご一報ください、出来る限り再生を試みます
以上、熱可塑性樹脂の縮みによる悲劇と対処法の特集でした!