ヨロイ部アップ画像
張り合わせで厚みを2倍に
いつも めがね修復・復刻保存館 フィールシーズをご利用いただきありがとうございます。
今回は、アセテート・セルロイド素材のメガネフレームにおける、張り合わせした素材の見分け方とその効果、目的などを紹介します。
過去にも事例の中で 何度かお知らせした事はありますが、豆知識として知っているとまた違った見方が出来て、めがねを選ぶ時の参考にもなりますよ。
ぜひ最後まで記事をご覧ください。
まず左画像は 有名なトムフォードのヨロイ部を上から見た画像ですが、中央横方向(レンズ面と平行)に線が見えますね、これが生地を張り合わせた痕になります。
光沢部には張合わせ痕
張り合わせ部を境に柄も変化
このトムフォードは、ブランドロゴ飾りをヨロイ部分に入れる為、飾りが納まる厚みを必要とします。
その為 生地を張り合わせ(重ね合わせ)することでヨロイ部分にのみ厚みを生み出しています。
次の左画像はこちら、めがねのブリッジ付近です。
上部光沢部分には先程同様、張り合わせ痕が見えますね。
また、逆側は張り合わせ部の境に柄の違いが見て取れます。
先程と違い、こちらは全体的に生地を張り合わせる事によって、フレーム全体の厚みを増し、重厚感のあるフレームに仕立てています。
見た目で太いフレームは張り合わせで作られている可能性が高いという事ですね。
画像フレーム中央よりやや下側に
張り合わせた何か?
アセテート素材のメガネフレームは、基本的な厚みが決まっており、4㎜.6㎜.8㎜が基本サイズです。(めがねを上から見た時のリムの厚みです)
この厚みの生地が板状になって販売され、製造メーカーは その板材から削り出してフレームを作ります。
各メーカーが作ろうとする厚みの生地を使用する事で、素材の歩留まりを良くし、端材を少なくして生産効率を上げています。
その為部分的に厚みが必要なフレームは、必要な部分だけ後から張り合わせて厚みを作り加工しています。
めがねって奥が深いですね。
上画像を別角度で
鳥の羽を生地に挟んでいました
別の 張り合わせの効果や目的のひとつに、色柄を変えて見せる効果、というものがあります。
左斜め上画像と左画像の違いを見て頂くと分かると思いますが、こちらは珍しい 鳥の羽 を生地の間に張り合わせる事で、正面から見た時の独特の柄を生み出しています。
張り合わせの利点は、使用中に増えていく傷にも関係なく 見た目が変化しない、ということです。
生地表面の印刷や塗装などは、使う事で付いてしまうキズによって、剥がれたり、劣化していきますが、中に挟んだり 厚めの柄物生地を使えば、多少の傷なら磨けば見た目元通りに。
このように、生地を張り合わせて作るメガネフレームは、デザイン・用途・色柄などに変化をもたらせ、使う人の選択肢を広げます。
その分、加工代・材料代・その他諸費用がプラスされますが、一般的に それをする・しないによって 差額が何万円にもなる訳ではありませんのでご安心を。
張り合わせの加工が可能なアセテート・セルロイド生地のめがね、当店でも加工可能なサービスが多くおススメです。
張り合わせの豆知識、身近にアセテート・セルロイド生地のめがねを使っている人がいたら ぜひ教えてあげてください。
当店では これからもめがねの話題・知識など どんどんご紹介していきますので、どうぞお楽しみに