復刻前
復刻後
めがねを折り畳む、そんな発想 最初に誰が考えたのでしょうか?
私が知る限りでは、折り畳みのめがねとして最も古い部類に入るであろう、このレイバン フォールディング ウェイファーラー。(老眼鏡以外で他にもっと古いものがあったらごめんなさい)
30年以上前、ジッパー付きの小型ケースに折り畳まれて入った このサングラスを初めて見た時は衝撃でした。
今も尚このモデルが販売されており、他ブランドでもこのつくりが真似られているのを見れば、よく考えられたロングセラーのヒットモデルであることが分かります。
このモデルは当店で2回目、前回はブリッジ部分のパーツを復刻再生でしたが、今回はテンプル側の樹脂丁番折れ復刻再生になります。
このフレーム最大の特徴である、「折り畳み」をする為には、最低3つの特殊な細工加工が必要になります。
その1・ブリッジ部に適度な空間を作る為の細工
その2・テンプル中央丁番を低く小さくする細工
その3・テンプル折り畳み時に重ならないよう丁番に角度を付ける細工
簡単に言えばこのようになりますが、ほとんどの方は?だと思うので、分かりやすく噛み砕いて解説します。
①はブリッジ部分で半分に折り畳む時、テンプルがその中に入り込む空間が必要な為、ブリッジ関節パーツの両端で折れる仕組みになっており、結果ブリッジ関節パーツの長さ分 空間が確保される事になります。
②はテンプル折り畳み時に、出来るだけコンパクトに畳めるよう丁番の直径と位置を考え、それらをテンプル幅 (上下から見た厚み)ギリギリぐらいに抑える事で 折り畳み時の厚みを抑え 綺麗に二つ折り出来る作りになっています。
③は究極の最終奥義、テンプル先のカーブ(耳に掛かる部分)の厚みを逃がす為、折り畳み部丁番とテンプル断面を斜めにし、折り畳み時にテンプル先が斜め下に下りることで、テンプルカーブ部が重ならないように工夫されています。
その為テンプル中央丁番が斜めに向いている訳です。 今回はテンプル丁番の復刻再生の為、②と③を具合を見ながら慎重に加工、取り付け仕上げていきます。
実はこのモデル、折り畳み時にテンプルが鼻当てとぶつからないように、鼻当てが低く作られており、日本人には少々掛けづらい仕様となっています。
そこをクリア(鼻部分を高く)する為には他を犠牲にしなければいけない為、特効薬がないのが残念かつ、構造上調整がしにくく、鼻当てを高くすることが出来ず、使用する人を選ぶ理由のひとつです。
それでもこの驚きのミニマムさと発想、片手に納まるめがねは愛用者も多く、今尚製造されている訳ですね。
このタイプのめがねを 元のような状態で修復・復刻出来る所はほとんどありません、当店に辿り着いた方は事例を見て、金額や期間・仕上がり具合がマッチするようであれば 是非お問合せ・ご依頼ください。 皆さまのご連絡お待ちしております。
※他のフォールディング ウェイファーラー 修理1の掲載はこちら
※他のフォールディング ウェイファーラー 修理2の掲載はこちら
復刻費用 | 約 24,000円 |
---|---|
期間 | 約 4週間 |
樹脂丁番折れてます
復刻再生完了
もちろん折り畳めます
違和感なし