中央2つ色が剥がれています
いつも めがね修復・復刻保存館 フィールシーズをご利用いただきありがとうございます。
今日は特殊加飾や復刻再生によくあるご質問の、復元の度合い(どれだけ元に似せる事が出来るか)についてです。
実は、この似具合というのがかなり厄介で、手作業で1点物を複製する職人にとって、大きなやりがいでもあり、その分難易度の高い仕事でもあります。
端的に言えば、モノによる、という事になりますが、それではご依頼される方に分かりにくいので、今回は事例サンプルとして左画像のディオール飾りの色付けでご案内します。
テンプル中央にある白く丸い飾り2つは本来の色ではなく、ゴールドパール色が剥がれ下地の色である白が出てしまった状態です。
色を調合して塗りました
当店のように、完全手作業による1点物の加工は、一般的な機械による大量生産品と違い、同じものは一つとして出来上がりません。
同じような出来栄えや雰囲気であっても、厳密には決して同じではありません。
なので、これとまったく同じものを とご依頼を頂いても、厳密に言うと まったくの同じもの には なりませんという答えになります。
また、過去に当店で仕上げた物とまた同じものを、とご依頼頂きましても 同じ様には出来ますが、同様で厳密に全く同じもの ではありません。
そして、ここは重要なのですが、似ている・似ていないの判断は見る人によって変わる、という事です。
ちなみにあなたは左画像の着色を見てどう思いますか?
遠目だと違いがわかりません
当店でご案内している表現方法の一つに、12色と24色の色鉛筆があります。
24色の色使いで例えば、赤はどこからどこまでですか?と尋ねた場合、赤系の範疇が人によっては1~2色誤差があります。
赤紫やエンジ系も赤と捉える方もいれば、赤十字マークのあの赤のみという方もいます。
当店ではご希望される色や形の目安として、ものによっては24色 色鉛筆でご希望の隣の色までの幅、モノによっては12色 色鉛筆でご希望の隣の色までの幅、と再現幅を表現しています。
また、形などは原形を100%とした場合の80%以上と表現しています。
この表現をもとに、それ以上のクオリティになるよう精一杯仕上げていきます。
左画像は24色 色鉛筆で例えると、ご希望の隣の色よりも近いという判断です。
別角度でもかなり近い色です
例えば、洋服などを購入する際、裏生地の糸のカット不足や縫製などを見ないと購入出来ないという方は、当店の仕上がりではきっとご満足頂けません。
着てみたら穴が開いている、色が違う、などは製品として不良ですが(例えば割引対象になるB級品以下)、着用して他人に判別つかない製品レベルは(例えば基準をクリアしたA級品)、手作業ではよくあります。
例えは別業種でしたが、復元に求めるクオリティの例として挙げてみました。
まず完全手作業である事、使う道具や材料なども元と違い限界がある事、ここを十分にご理解頂ける方は、きっと仕上がりにもご満足されると思います。
逆に、復元とは言え同じものが一つとしてないオリジナル品、としてお楽しみいただければ、末永くご愛用して頂ける逸品になると思います。
左画像を見て、これ以上のクオリティを求める方は、当店ではお断りしております。
また、色・形などの復元・複製の度合いは、ホームページ上に事例を多数掲載しおりますので、そちらも判断基準として参考にしてください。
結論ですが、塗装・メッキなどの復元・複製などのクオリティは、24色 色鉛筆希望色の両隣までの幅内、形状の復元・複製などのクオリティは、原形の8割以上、を目安にして頂き、当店は更にそれ以上、元に限りなく近づける最大限の努力をする、をご理解ください。