初めて見ました! セル輪+ブローのコンビ!? DITA
ようこそ! めがね修復・復刻保存館 Feel Seeds のホームページへ訪問いただきありがとうございます
今回は、またもや見掛けた珍しいめがね、セル輪+ブローのWコンビネーションフレーム「DITA」のご紹介です
めがね業界歴35年以上の私も驚く、ありそうで?無かった「ダブルコンビ」
その作りを考えれば誰しも頷く、分厚く仕上がるのは必須、そこにあえてチャレンジしたフレームなのです
こちらの画像のDITAフレーム、他では見ない作りはそれだけではありません
ブロー・テンプルを繋ぐ丁番が埋め込みではなく、ボルト・ナット止めなのです!
しかも、ボルト・ナット共に一般的なものではなく、ボルトは頭の中央が六角形に窪んだもの、ナットは頭の両端に切れ込みが入ったもの と、外すためには専用工具を必要とするこだわり
一般的なプラスマイナスのドライバーや六角ナット回しでは分解が出来ません
このような作りの場合、丁番部分での調整が難しい分、製造時の精度が求められ、単価が上がる為の理由がそこかしこに見られます
その分「唯一無二感」は十二分に感じることが出来、他と被らないめがねをお探しの方には持って来いの仕様です

ブローの下にはセル輪が

丁番も特殊な止め方

どうやってネジ止め?

メタルリムはナイロール
では本題の部分について見ていきましょう
こちらのモデル、フレームのレンズ面を垂直にスパッと輪切りにしたと仮定して、断面を解説します
では一番厚くなる上側、ブロー部分を見て行きます
ブロー部分は断層で言うと一番上(外側)になり、次の段(下段)にある素材を包み込む構造上一番厚くなります
その下は、なんと、金属のナイロールリムになります
分かりにくいですが、ブローに金属リムが納まる窪み(溝)を掘り、厚みを抑えながらも固定できる仕組みを上手く利用しています
しかも、ナイロールリムにする事で「ヤゲン」が無くなり「リム自体の厚み」をわずかに薄くし、全体の厚みを抑える構造にしています
このナイロールリムにブローを固定する為のネジ止めパーツ(輪)を溶接しているんですね
これでブローがネジ止めすることが出来、しっかりと固定されています
その次に来るのがセル輪になります
このセル輪も、メタルナイロールリムにし セル輪幅とメタルリム幅を合わせたたお陰で、ブロー部分と干渉しない作りになるよう考えられています
そして一番最後、(下段)ミルフィーユ状の最下層がレンズ、という事になります
ぱっと見わかりづらいですが、実は4層構造になっているんですね、それは分厚くもなる訳です
しかし、それを最小限に抑える工夫があちこち見受けられます、たいしたものです
しかも、よく見るとセル輪をブローから若干見えるようにしているのは、厚いレンズでもブローに干渉せず使用出来る為も考えられています
構造の複雑化、それは工程数の多さに直結します
イコールそれ分の手間も重なる為、余程考えられたもの・それなりのブランド等でない限り、製品を黒字化するのは難しいもの
それながら、そこにあえてチャレンジする姿勢は見習うべきものが多々あります
当たり前のものがなかなか売れなくなった時代に、知恵と技術と企業努力で活路を見い出す、そんな姿勢が見える製品のようです
色々な視点からめがねを見ていくと、まだまだ色々な表現・製造技術もある、と実感できますね
今回はたまたま見掛けた珍しめがね「DITA」の特集でした
また珍しいフレームを見掛けたらご紹介していきたいと思います
それでは次回をお楽しみに