不思議なカラー
裏側まで摩訶不思議
別モデルも同様
摩訶不思議!!
いつも めがね修復・復刻保存館 フィールシーズをご覧いただきありがとうございます。
今回は 不思議な表面処理、「陽極酸化」をご紹介します。
一般的にめがねの表面処理は、メッキ・塗装の2種類があり、金属に電気を流し 様々な方法で色を付けるのがメッキ、塗料を塗って着色するのが塗装になります。
また、当店独自サービスの沈金・蒔絵は部分的に装飾を施す技法の為、「表面処理」ではなく「加飾」になります。
では本題の陽極酸化とは、どのようなものなのか簡単に説明致します。
調べてみると、金属を陽極として電解質溶液中で通電した時に金属表面に生じる酸化被膜、と記されており、メッキと似た方法で行うことが分かります。
しかし、陽極酸化が他と違う性質なのは、無色透明な酸化被膜なのに、膜厚が変わることで色合いが変わるという事。
また、陽極酸化処理加工は、メッキや塗装などの方法と比較しても、機械的物性や耐久性を変えることなく、さらに剝がれる心配もないことが大きな特徴です。(精密金属加工より抜粋)
まず、無色透明な酸化被膜なのに色が付いて見えるのは、シャボン玉が無色透明の液体から出来るのに表面が虹色に見える現象、と同じという事です。
次に機械的物性や耐久性を変えないという事は、チタンの優れた性質である、軽量性・比強度が高い・耐熱性・耐食性・高い生体適合性などがそのまま保たれるという事です。
メッキや塗装を施すと、塗装被膜による軽量性の変化・耐食性・耐熱性や、メッキによるニッケルの付着でアレルギーの心配など、様々な物性変化を伴い、チタンの優れた性質が低下します。
これらの変化なく表面に発色出来る加工が「陽極酸化処理」になり、上記の電気方式と高熱を加える大気酸化法があります。
バイカーやキャンパーが自分のアイテムを育てる?チタンブルーは、後者の大気酸化法になり、上記画像のめがねは電気方式ということですね。
色で説明すると、高熱で発色出来るのはほぼブルー系だけになり、その他のカラフルな発色は電気方式になります。
鯖江にあるメッキ工場で「陽極酸化」をレギュラーで行っている所はほぼ無く、実質個人ではオーダー出来ません。
それには酸化被膜厚や色彩、ロット(数)コスト(金額)などが関係しており、近未来にクリアできるモノでもなさそうです。
しかし、チタンの優れた特性そのまま、きれいに発色できる陽極酸化技術、ぜひ取り入れたいものですね。
以上、今回はとっても不思議な めがねの表面処理技術、陽極酸化の紹介でした。