修復前
修復後
ルイ・フランソワ・カルティエがパリで創業した Cartier/カルティエ は、高級品のコングロマリットと呼ばれ、めがねのみならず宝飾品、皮革製品、時計、など身に纏うあらゆる製品の製造・流通・販売などを手掛ける一流の高級ブランドです
ブランド品に疎い方でも、その名を聞いた事が無い、という人はいないと言えるほど有名です
今回のご依頼は、そんなカルティエブランドのめがねフレーム、ウッドテンプル折れの修復再生事例です
なんとこちらのご依頼主様、海外主張先のベトナムで壊してしまったらしく、そのままベトナムで検索され当店へお問い合わせを頂きました
壊してしまった理由は聞きませんでしたが、かなりショックの大きさにうなだれ、藁にも縋る思いでご連絡頂きました
それからしばらくして国内に戻られ、いざ ご依頼の流れとなりました
ウッドでなくとも、金属より弱い素材あるある?ですが、急激に力が加わった際 金属のエンド部分で折れる事はよくあります
壊れためがねを直す、この仕事に就いてから私は、ノー芯製法のセルロイドフレームより芯の入ったアセテートフレームを選びます
折れにくい=壊れにくさや、経年での素材の変化など、手入れがしやすく万が一でも修復しやすいからです(あくまで個人の意見です)
話を戻しまして、今回対象のウッド素材は 大抵折れると破断面が複雑な木材特有の裂け方となります
修復加工をする際は、必ずと言っていいほど 同じ状況下での再発を起こさないよう何らかの処置を施します
今回ももちろん同じ部分での再発防止策を施し、進めていきます
破断面も竹を割ったような綺麗な二分割であれば、つなぎ合わせる際も比較的見た目綺麗に出来ますが、複雑に裂けた断面は繋ぎ合わせても僅かな隙間が目立ちやすい仕上がりとなります
実際今回もよく見ればその隙間が暗く写り、そこだけ影の様に目立ちました
ここで加工を終えれば見た目はそのままですが、プレミアム加工を謳う当店は更にもうひと手間掛け、目立ちにくくします
できた影を目立ちにくくする特殊な方法で、ワンランク上の仕上がりへ
今回のフレームはウッドとしては珍しく、表面にクリアコーティングが施され艶やかな状態だった為、最後の仕上げもそのように合わせていきます
様々な工程を終え仕上がった完成品には、寒い地域から常々熱い応援を送って頂いたご依頼主様もご満悦のご様子
後日実際手にされた際には「改めて日本の鯖江市のメガネ精製技術の、高さに驚きをかくせません!」と高いお褒めのお言葉を頂戴しました
今回は、海外からのお問合せ、熱い応援のご依頼主様、ウッド素材、様々な珍しいご依頼が重なり合った、私の記憶にも深く残る事例となりました
ご依頼主様、今回は本当にありがとうございました、お言葉通り「一生大切に」して下さいね!
修復費用 | 約 29,000円 |
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期間 | 約 3週間 |
ビフォー
アフター
破断面分かりますか
綺麗に完成