復刻前
復刻後
泰八郎謹製 (たいはちろう きんせい)は、金子眼鏡株式会社が世に送り出した「職人シリーズ」のひとつ
職人シリーズの多くは、昭和時代から主にセルロイドフレームを手作りで生み出してきた熟練の職人にスポットを当て、その職人名をブランド化し 広めたシリーズです
私の生まれ育った鯖江市河和田地区、この地の一番奥 山の麓に工房を持つ「山本泰八郎」氏
その職人の手から生み出された数々のフレームは、多くの人の表情を作ってきました
今回はそんな泰八郎謹製の、ハーフ生地の境目が加水分解により無数の亀裂が起きた事から、フロントを復刻再生した事例となります
上下で色の違うセルロイド生地、ハーフ/ツートン とも呼ばれる2層の生地ですが、ブランド独自のものらしく 探しても市場に出回っていません
ご依頼主様の生地へのこだわりは、ハーフである事・上部の色が黒系で濃い事・下部の色が無色でない事・でした
複数件探し回り、ようやく見つけた生地が画像のもの、お客様からもOKとなり こちらで作っていきます
丁番はセルロイドに多い「5枚丁番」の為、フロント側を再利用します
このフレーム、アウトラインが絶妙な丸みを帯び、それを再現する為ヤスリで微調整しながら整えます
当然最後に磨きも掛ける為、そこで艶を出しながら整える(微妙に痩せる)計算も入れての加工です
フロントの形を作り、鼻盛を付け、丁番を埋め、テンプルを取付て全体のバランスを見ます
最後にもう一度全体を研磨して完成となります
生地の違いから雰囲気がガラッと変わりましたが、ご依頼主様には大変お喜びいただけました
今回は作ることの難しさ、よりも、見合う生地探しの難しさ、がより際立つ仕事となりました
その苦労も吹き飛ぶほどのご様子に、また一つお役に立つことが出来た、喜びの大きい加工経験となりました
ご依頼主様、どうぞ末永く大切になさって下さい、ありがとうございました
復刻費用 | 約 80,000円 |
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期間 | 約 8週間 |
両ヨロイ下側
無数に亀裂が
復刻後
シブいハーフカラー
鼻盛も綺麗に
しっかり復刻