復刻前
復刻後
フレーム(金属部)が18金、モダンとブローはべっ甲、という大変高価なフレームは、ご依頼主様のお父様の形見だそうです。 左のべっ甲テンプルが曲げの部分で折れていますが、それもそのはず。 長い歳月を経たそのフレームは、幾度となく手入れを繰り返し、特にテンプルの曲げ部分はそのせいあって やせ細ってしまったようで、丁寧に使い込まれたあとが見えます。 べっ甲はタイマイという ウミガメの甲羅の加工品を指しますが、主成分はタンパク質で出来ている為、汗や整髪料に弱いのが特徴です。 セルフレーム・べっ甲フレームも同じく、肌に直接触れる部分などから白化・劣化していくことがほとんどで、白化・ひび割れなど劣化した場合、磨き直す事で元に近い光沢が甦ります。(特にべっ甲は艶やかになります) そして天然の柄模様は、何枚も甲羅を見比べて近い色味の部分を繋ぎ合わせて作る為、色によってはウミガメ1~2匹では到底おさまらず、何匹ものウミガメの甲羅を少しづつ繋ぎ合わせて作る といった、手間と材料費がセルフレームの比ではなく、機械にかけて作ることが出来ない理由がそこにあります。 今回は、モダンと呼ばれる部分(耳に掛かる辺り)を濃い目の色柄でご希望された為、暗めの柄部分を繋ぎ合わせ作りましたが、この様な柄に対する自由度の高さもべっ甲の魅力のひとつです。 色味や形を少し変えても語り継がれていくそのフレームには、携わった人の数だけ思いが宿り 後世に遺されていくのでしょう。 受け継がれたものを大切にする、その素晴らしい想いにお手伝い出来た事を喜ばしく思います。 きっと、今回の上品な18金のべっ甲ブローフレームもこの先長くお使い頂ける事になるでしょう。 ご依頼主様、ありがとうございました。
復刻費用 | |
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期間 |
修復後
修復後サイド
形見の元パーツは
ちゃんとお手元へ
綺麗に仕上がりました