復刻前
復刻後
使い込まれ どこか懐かしさを漂わす太めのセルロイドフレームのテンプル復刻再生ご依頼です。 聞けば 昭和の時代からご使用されているとの事ですので、少なく見ても30年以上前のヴィンテージメガネとなります。 なんとこちらのご依頼主様、壊れて困り果てた時 過去の当店の事例をご覧になられ、ご自身のめがねも同じ様な状況 という事でお問い合わせを頂き、加工させて頂く流れになりました。 一般的にセルロイド製メガネフレームの寿命は 5年前後と言われていますが、このめがねも大切に使われたのでしょう、30年という時を感じさせない状態に、使われている方の人柄が浮かびます。 このフレーム、全体的なコンディションも良く、よくある白化現象やひび割れもほぼ見当たりませんし、ご依頼主様の想いも汲み取り、一部分(テンプル)のみ復刻再生が適していると判断、しかしながら模様である柄の入り具合が微妙に合わず、全体見た目の雰囲気を合す為「ビール茶」と呼ばれる単色生地を使用し復刻しました。 まわりと比べて若干暗めに映りますが、ご使用時ほとんど気付かれないレベルのものであり、ご依頼主様もご納得。 できるだけ元のままで というご注文に沿って、丁番金具も元のものを再利用させていただきました。 テンプル中に入る芯金は新規にし、壊れたテンプルはそのまま形を残し、思い出として保管して頂けるように。 日本国内、セルロイドメガネをオーダーメイドで作れる所は、鯖江以外でも各地にありますが、テンプルに芯金具を入れて加工する「芯張り」が出来る所は ほぼ鯖江にしかありません。 その為、オーダーメイドで作る県外の工房では、「ノー芯製法」と呼ばれる、芯が無いテンプルで仕上げる事が多いです。 テンプルの中に芯金が入る「芯張り」と芯金が入らない「ノー芯」の良し悪しは今度改めてお話致します。 話を戻しまして、耳に掛かるモダン部分の曲げ具合も元に合わせ、全体を綺麗に研磨ツヤ出しを行い、完成しました。 出来上がりは ヴィンテージメガネとは思えない質感になり、それでいてどこか懐かしい玉型のセルロイド製メガネフレーム、また一つメガネの寿命を延ばすことが出来ました。 ご依頼主様、当店に辿り着いていただき本当に感謝いたします、末永く大切にお使いください。
過去のヴィンテージメガネの掲載はこちら https://www.feelseeds.jp/case/archives/147
復刻費用 | 約 60,000円 |
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期間 | 約 6週間 |
新旧テンプル比較
ほぼ違和感ナシ
光沢が綺麗です