復刻前
復刻後
過去にも復刻再生事例がある形状の 飾り金具ご依頼です。 この飾り、過去によくある飾り金具の形状・留め方とは異なり、外形は かまぼこ型で、留める為の埋め込まれる部分は四角柱となっており、寸法精度を求める作りです。 この金具で重要な寸法は3つあり、1.かまぼこ型の外形 2.埋め込む部分の四角柱の径 3.金具の厚み の3つです。 順に説明しますと、1の外形はヨロイからテンプルにかけての形状(見た目)に大きく関わり、手で触ったときの凹凸感にもつながります。 2の埋め込まれる部分は見えない場所ですが、飾りを固定する為には出来る限り内外径寸法差を少なくし、圧が掛かる事で再落下を防ぐ為です。 3の金具の厚みは 基本的に反対側に合わせればよいのですが、ここが0.5㎜も違うとテンプルの開き具合に大きな差が出る為、これもとても重要な寸法になります。 幸いこのフレームの素材はTR-90でしたので 常温下で縮むことはなく、フレームの変形さえなければ 反対側にサイズをピッタリ合わせることで 開き具合も左右合うようになります。 これがアセテートで出来たフレームだった場合 素材が縮み、その縮み具合も左右で異なる場合が多い為、金具の厚みを調整する必要がある時もあります。 TR-90やウルテムといった、超軽量弾力性素材は基本的に常温で縮むようなことは無い代わりに、アセテートのように透明系で綺麗な柄が多く入っためがねは作れません。 アセテートは生地の色柄が美しく、無限に色彩を作ることが出来、素材の加工もしやすい為、めがねに向いている素材なのですね。 今回のフレームのように 金具の装飾を取り付けるのであればTR-90・ウルテムといった素材の方が縮まない為に適しており、綺麗な色柄やフレームの厚みを出したい場合にはアセテート・セルロイド素材が適していると言えます。 めがねの素材に対する装飾品の向き不向き、ご理解いただけましたでしょうか? 今回は、飾り金具の寸法の重要性と、それに対する本体の素材について深掘りしてみました。 複数回記載している事例には、別の様々な視点でも解説していきますので、どうぞ毎回楽しみにしていて下さい。
復刻費用 | 約 27,000円 |
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期間 | 約 5週間 |
復刻前
復刻後
復刻後
メッキ前
開きも良し